大会プログラム

◇大会日程  
○9時00分〜9時30分 受 付 (9階研修室)
○9時30分〜9時40分 開 会
玩具福祉学会会長挨拶 林 邦雄
○9時40分〜11時10分 口頭発表実践報告
○11時15分〜12時00分 記念講演
「玩具が福祉に寄与すること」
財団法人 日本玩具協会会長 山科 誠
○12時00分〜13時00分 1Fレストランで自由昼食 (906室にて理事会)
実践活動パネル等の展示
○13時00分〜15時30分

シンポジウム
テーマ 「玩具を活用する福祉活動の探索」
    −玩具を創る立場・利用する立場−

  司会  
   愛知みずほ大学教授・学会理事 中嶋 充洋
  シンポジスト  
   セガトイス 山名 一重
   バンダイ 平井 葉子
   宮城県社会福祉協議会 高橋 賢一
   福祉施設銀河ステーション施設長 阿部 るり子
  コメンテーター  
   仙台往診クリニック院長・医学博士 川島 孝一郎
   前目白大学教授・学会会長 林 邦裕
   玩具福祉学会理事長 小林 るつ子

「第三回玩具福祉学会 大会行う」

設立されて、三年目を迎える。又新しく活動が推進することを願いつつ、

今回の大会は、多くの口頭発表があり、各部屋は、満席だった。そして、活

気が感じられた。前日迄、「玩具プレイケア専門員養成講座」が、同じこどもの城の研修

室で、三日間、連日行われていて、その参加者も、熱気につつまれて同席した。一人一人が真剣なまなざしで、それぞれの部屋で熱心に耳を傾けている姿が印象的であった。記念講演は、大きな部屋が満室で、山科誠氏の講演も大変力のこもったものだった。口頭発表は三つの部屋で行われた。企業の人の発表は、新しい開発の苦労と、玩具への深い思いを発表。これらの『研究テーマ』は、現代の若い人々の多くが関心をよせている事であった。

シンポジウム

堀田由美

シンポジウムのテーマは『玩具を活用する福祉活動の探索』であった。中でも印象的だったのは障害児の母親であり、福祉施設長でもある阿部るり子氏の使う側の実践であった。どんなに重い障害があっても玩具で楽しむ実践に私自身も共感した。

それからコメンテーターの、仙台往診クリニック院長川島孝一郎氏の話であった。「人と人がうまくかかわれていれば、玩具は本来必要ではない。玩具はあくまで手段であり、人のぬくもりや心がまず必要である。玩具の持つ功罪について考えて見る必要がある。」といった内容の話が印象的だった。今回は、玩具に対するいろいろな立場の人と出会え有意義な大会であった。

 

司会者 中島充洋

 

コメンテーター 川島孝一郎

「口頭発表について」

テーマ 発表者
A-1 高齢者に玩具の楽しさを伝える事 生井一樹
A-2 動物玩具の可能性 関口真木子
A-3 重症児にこそ玩具を ! 堀田由美
B-1回旋における分離作動を促す遊具の紹介 岩崎清隆
B-2 玩具福祉プログ‘ラムの効果の定量的評価方法に関する研究 吉田浩
B-3 学生ボランティアにおけるプレイパスの取り組み 小田直樹
C-l高齢者と幼児をむすぶ手作り玩具 森田清美
C-2 障害児の遊びを通しての手作り布の遊具の変遷 魚本陽子
中山芳子
野口光世

口頭発表分科会 A

「高齢者に玩具の楽しさを伝える事」

( 株 ) コンビ・トイ事業部

  生井仁樹

乳幼児向けの玩具を製造販売しているので、その玩具を持って、高齢者と遊ぶ機会があった。実践してみて、楽しそうに遊んで頂き、とても楽しい事が一番であると実感した。症状によって異なるが、遊び方はさまざまだ。抱き人形を抱きしめる人、小さいアクションカ ―を押して動かす人、交互に遊び、なごやかな時間が流れる。自由に、自発的に、楽しく、一生懸命に遊ぶ姿は、高齢者に、笑顔と安らぎと刺激を与えている様に感じた。乳幼児玩具をすすめるのは、日本玩具協会が設定している ST の基準を満たしていて安全であるから特に、軽度、中度の痴呆の方々に適していると考る。又、一緒にかかわる人々の重要性も感じた。( 発表の一部のみ掲載 )


「動物玩具の可能性」

 イワヤ株式会社

開発部 関口真木子

人数がますます膨らむ高齢者市場に向けて、各社玩具メーカーは模索している状態だと思う。しかしながらまだまだ自分のために玩具を買おう、買って楽しもうという方はほんの一握りだ。今後の玩具メーカーの出す商品が高齢者の方にとって持っていることが満足感につながったり、素直に喜べるような物でなくてはならないと思う。自分が子供っぽくなったと感じさせるようなものや、ばかにされているような気分になってしまってはならない。

弊社では現在、愛犬こころという商品を発売する。この商品はおともだちつくワンちゃんの四速歩行版というような商品で、より本物の子犬に近いワンちやんだ。四速歩行で右に左に曲がることが出来る。お座りや伏せも出来る。頭や背中をなでたり耳を触ったりするといろんなアクションで答えてくれる。また、リモコンがついていて呼べば立ち上がって前進する。自分の後ろについてきてくれたりもする。犬の言葉と人間言葉が切り替えられるようになっており、人間の言葉モードにすると話しかけたときに、「なになに ? 」「ふんふん」「それでどうしたの ? 」「あとは ? 」などと相づちを打ってくれる。また自分勝手に遊んだ後、「もう疲れちゃった。休んでいい ? 」といって座り込んでしまう。背中をなでて眠らせようとすると「まだ眠くないよ・・」といいながらいびきをかいて眠ってしまう。頭をなでると「大好き」

背中をなでると「なでてなでて ! なでなでして ! 」等。一緒に遊んでいると、このワンちゃんには感情があるように感じる。

 このような動物玩具はまだ全体で見ればけし粒のような存在であるが、これからの動物玩具の方向性である。私たちはこれを足がかりにして小さいお子様から高齢者の方までさまざまな年齢の方、そして入院したり、障害を持っている方のライフパートナーとなってくれるような存在のおもちゃを作らなくてはならないと感じている。( 発表の一部のみ掲載 )

口頭発表分科会 B

回旋における分離作動を促す遊具の紹介

群馬大学医学部保健学科

岩崎清隆

ハンマー:これは少し重さがあって引当たっても痛くないものを紐の先端に結び、紐の先に持ちやすいハンドルをつけて、それを左右の手に持ち変えることによって回転させる遊びである、両手に物との接触の ON&OFF が交互にリズミカルに起こるので、身体の両側が意識し易くなると共に、両手の交互動作に合わせて、身体の正中線および体幹の回旋の動きがスムーズになってくる。手の動きだけでハンマーを回転させようとしてもなかなかうまく回らないが、紐の先についた錘の遠心力が利用で向きるようになると、スムーズにハンマーを回せるようになる。そういう意味では、手先に力を込めて振り回すのではなく、手に感じる感覚をたよりに手の振りを調整するような手の動かし方が求められる。このように感覚入力を確かめながら、運動を調節する動きは逆に手の分離運動を促すことになる。うまくできないようであれば、ハンマーを床につけて、床の上をすべらせるようにして、両手の交互運動を覚えさせるようにするとよい。

同じハンマーを両手でもって、身体のまわりを回すようにさせると、ハンマーの動きに合わせた体幹の回旋がより求められるようになる、骨盤からの上の体幹を回旋させるには、下肢を安定させる必要があるが、上半身の回旋の動きによって、下肢にも左右の体重移動の反復が経験される。このように、下肢を硬く固定してではなく、動きを伴いながらの安定させる安定のとり方は、 3 次元空間を使った粗大運動遊びの基礎となる。

回転ヘルメット:ハンマーを回転させる同じ動きを首に求めるものが、回転ヘルメットである。この遊びは、下肢、体幹を安定させ、首からリボンの先端のボ l ルの遠心力をたよりに回旋の動きを作るのであるが、姿勢のアライメントを保ち、頭の中心軸がしっかり捉えられると、頭を大きく回旋させなくても、わずかな動きでリボンを回せるようになる。

分銅回し:分銅の付いた紐を指先でつまんで回すためには、肩と肘を安定させて、手首をうまく使えるようになると、分銅が弧を描いて回転するようになる。ビデオの子どもは、何とか回せているが、分離動作が十分でないので、手首の動きに合わせて、頭を合わせて回してしまうなどの身体の他の部分に連動反応が現れている。これに比べ、次の子どもは、肩、肘を空中に余裕を持って、保持していられるので、その分リズミカルな分銅の回し方になっている。

以上三つの遊具を紹介したが、これは単純な遊びであるが、精神発達遅延児にもわかりやすく、回転させる感覚そのものが報酬となるので、比較的動機が得られやすい遊びとも言える。ダンス、長縄回し、縄跳びに繋がり、その基盤形成するものである。( 発表の一部のみ掲載 )


玩具福祉プログラムの効果の定量的評価方法巴関する研究

根拠に基づく福祉への端緒

東北大学経済学研究科助教授 吉田浩

本研究は玩具福祉の分野においても「根拠に基づく福祉」 (BEW:EvidenceBasedWelfare)

に基づいた実効的なプログラムの展開の必要性を主するものである。論文では、はじめに客観的

指標の必要性を理論的に整理し、福祉プログラムの計測方法をいくつか紹介している。つづいて、非医療的アプローチによりウエルフェアを証的に計測した例を収集した上で、玩具福祉学における効果計測のための要件について整理している。癒しにかかわる効果を調査する方法には、 (a) 個々の対象者についてコルチゾールをはじめとした抗ストレスホルモンの分泌量を生化学検査によって疫学的に調べるミクロ的アプローチによる方法と (b) ある集団の対象者につての生活循環と医療費のデータをリンクさせて回帰分析等の方法で検証するマクロ的アプローチによる方法がある。いずれの方法によっても非医学的プログラムが生体の受けているストレスの影響や医療費を改善するという結果が得られている。

これらの結果から、玩具を使った様々なプログラムへの効果をミクロ的、マクロ的に統計学のアプローチを用意ながら確認していくことが、プログラムの効率性、社会性の確保のために必要である。

しかし、玩具福祉の効果をこれらの手法を用いて確認することは、技術的、費用的また調査サンプルやデータや機会の確保の点から困難さを伴うことも考慮しておかなければならない。生化学検査の場合、採血などは自由に行うこともできない。このためにも玩具福祉プログラムが行われている現場 ( 家庭や非医療的施設 ) にふさわしい手法の確立、開発が今後必要である。 ( 発表の一部のみ掲載 )

口頭発表分科会 C

高齢者と幼児をむすぶ手作り玩具

ギルフォード知能教育センター大阪

森田清美

私の本職である 2 歳から小 4 の子どもを対象とする知能教育の25年の積み上げを見て、「それ、高齢者にも使えるんじゃない ? 」と、短い時聞に 3 人もの方がおっしゃいました。 いずれも高齢者の福祉や医療の現場におられる方でした。

私はふと、先年亡くなった父と、ある老人病院で同室だった一人のおじいちゃんを思い出しました。その方は、さっさと歩いて入院してこられましたが、痴呆が始まっていて、息子さんにもあんさん、どなたさん ? 」と言うような状態でした。しかしお話は上手で、相手を見つけてはおもしろい話をなさっていました。お元気でベッドの上でじっとしておられず 上がったり下りたり廊下へ出たりされるのが看護する側からは困ることだったのでしょう。間もなくベッドに繋がれるようになり、しばらく抗 っておられましたが、だんだんおとなしくなりお話もされなくなっていきました。繋がれた始めの頃「小便や ! 」と訴えられるのに「そこでしていいよー。おむつしであるから大丈夫よー」と言う返事が返されていまし

た。美しい声とあまりにも懸け離れた言葉が今もはっきりと思い出されます。

私たちの持っている教材や指導の経験がお役に立つものかどうか、とにかく勉強しようと始めたのがこの試みでした。以来 6 年余り、今も続いています。ぼけ防止に効果があったとか、リハビリ効果があったとか、そんなことではありません。強いて言うなら関わった高齢者も子ども達も、そして誰よりも私たちが多くを学び、お互いを与え合えたといえるでしょう。

社会福祉法人「日本コイノニア福祉会」 ( 大阪府柏原市 ) の特別養護老人ホーム「大阪好意の庭」では同じ法人の「旭丘まぶね保育園」の子ども達が、「第二好意の庭」には「久宝まぶね保育園」の子ども達が来て、入居者とぺアになって、週 1 回 (1 時間 ) 、工作をしたり、作ったおもちゃで一緒に遊んだりします。子ども達は両園とも年長児別名余、 1 年のおつきあいで卒園していきます。指導は「ギルフォード知能センター大阪」の指導員 2 名、ホー ムのワーカ1名と保育士がサポートしてくれます。( 発表の一部のみ掲載 )